本日の日経新聞に、米映画大手が邦画製作に投資する、という報道がある。
20世紀フォックスとソニー・ピクチャーズの名前が挙がる。
フォックスは氏が制作に出資、ソニーは映画制作の委員会幹事となる。
背景はこうだ。
1 米国の金融危機でハリウッド映画制作本数が絞り込まれていること
2 トレンドに敏感な若者世代さえ、このところの良質な邦画、を志向しており、ハリウッド映画が当たらないこと
3 1と関連するが、日本法人の自立が求められていること、などが挙げられている。
さて、ここから私の解説です。
私は長く勤めた外資系企業の税務調査の最終章で、外資系映画配給会社の税務調査を担当し、その際、映画産業についてはそれなりにスタディ、し、ハリウッド映画のビジネスとしての特徴をよく理解しています。
まず、制作本数が絞り込まれていること、についてですが、数値は正確にはわかりませんが、映画館で封切り上映するものとそうでないものの総数がハリウッド制作映画の総数ということになると思いますが、やはり絞り込まれていることが挙げられます。
ただでさえ、リスク回避のために続編のラッシュでした。
やはりある種の閉塞状態をハリウッド映画全体に感じます。
同氏の伝えている興行収入ランキングでも、トップは「ポニョ」の154億円。
洋画は、3位、「インディージョーンズ」と「アイ・アム・レジェンド」くらいであとはすべて邦画です。
次に、
日本法人の自立、ということの意味ですが、正直、大赤字なのです。ハリウッド系映画配給会社の在日拠点はどこも営業赤字、ではないかと思います。それはなぜかと言いますと、ハリウッド映画を全国の映画館で封切り公開するためには莫大な広告宣伝費を投下する必要があり、それは、すべて「配給会社」の負担となっているからです。
逆にいえば、映画館などの興行会社は、興行収入の半分を手元に残し、売店や施設管理などを手掛けるほかに、大規模な費用負担はなく、健全経営です。
さて、赤字の理由ですが、広告宣伝費を投下してしまうと、配給収入(興行収入とは映画のチケット売り上げ金額であり、その半分が配給会社へ支払われる「配給収入」です)がほとんど飛んでしまい、一部の大スターが出演する大作以外は、単独では「大赤字」なのです。
ではなぜ経営を続けられるかというと、ライセンス契約を通じて、親会社、厳密には親会社ではないのですが、版権元が補てんしているからなのです。
補てんした金額は、テレビ放映、レンタルなどで長い目で回収できるといいのですが、なかなか待っていられません。
本来は劇場公開で黒字にしたいわけです。
その意味で、邦画投資は、劇場公開だけで「黒字」が見込める投資ですので、大変「気力的」なわけです。
在日拠点が黒字化するためには、黒字配給ができる映画が多数制作される可能性がないので、邦画に投資するしかないわけです。
日本はユニークな国と言われます。
これだけの邦画、がハリウッド映画を駆逐する国もそうないでしょう。
また、フィルム産業においても、イーストマン・コダックという巨人が、富士フィルムに、どうしても勝てない、絶対に勝てない国、それが日本です。
日本は、ハードの産業も、ソフトの産業も、まぎれもなく、一流になりつつあります。
それをうまくミックスさせ、経済の再生を果たしていきましょう。
それにしても、見たい映画だらけで困りますよね!!!
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